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村沢義久のソーラービジネス最前線 Vol.7 元東京大学特任教授 コンサルタントや、金融での経験を元に、化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱。電気自動車の普及と太陽光発電を中心とした低炭素社会の実現に注力。

太陽光発電のエキスパートとして、様々な事業者へのコンサルティングも手がける村沢氏による、"旬な話題"。今回は、「電力自由化と2016年以降の太陽光発電」について。

2015年の日本の太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT)導入以来初めてのマイナス成長になりそうだ。では、2016年はどうか。無視できないのが、電力産業にとって60年ぶりの大きな改革である、電力小売の全面的な自由化だ。

電力自由化いよいよ本番

これまでの日本の電力事業は、信じられないほど後進的なものだった。まずは、地域独占。ユーザーは、関東地方なら東京電力、関西圏なら関西電力からしか電力を買えない仕組みで、これが、世界でもトップクラスの高価格の主たる原因となってきた。

電力小売は、現在も一部自由化されているのだが、対象となるのは、契約50kW以上の大口ユーザーに限られる。しかし、2016年4月からは、この制限が撤廃され、自由化の恩恵が中小企業や一般消費者にも及ぶことになる。関東の消費者が関電から買うことも可能になるが、もっと重要なのは、既存の電力会社ではない新たな事業者の参入だ。

例えば、ソフトバンク。2014年春に新電力事業に参入し、すでに50kW以上の大口顧客向けの小売事業を開始している。2016年からは、全面自由化に合わせて一般家庭向けにも販売すると発表しており、2015年10月7日に東京電力との家庭向け電力販売に関する業務提携を発表した。ソフトバンクにとっては、この提携が小口電力小売への突破口となる。一方、自由化で競争にさらされる東電にとっては、ソフトバンクの通信サービスとの組み合わせが新たなセールスポイントになる。また、消費者にとっても、電力と通信のセット販売による実質的な値引きが期待される。

ソフトバンクは、太陽光、風力を中心とした再エネ発電の大手である。小口小売りへの参入は、最初は、東電との提携による間接的なものになるが、今後は、直接参入し、自社発電による再エネ電力の販売を行うものと見られる。

2016年の買取価格と優遇税制は?

では、電力自由化で、太陽光発電がさらに活性化されるだろうか。ここで、一つ心配なことがある。再エネ発電による電気を「グリーン電力」と称して売ってはならないという意見が出てきたのだ。

火元は経済産業省の有識者会議。再エネ電力はFITの恩恵を受けている。元々優遇されているのに、自由化でさらに利益を上げてはいけない、ということのようだが、理不尽な議論であることは間違いない。

FITについては、様々な意見があるが、私は大成功と考えている。2014年の導入量は過去最大で900万kW以上。中国に次いで世界第2位だ。2015年は、FITの「優遇期間」が終わり、買取価格が27円まで下がったこともあり、多少減少しているが、想定の範囲内だ。暦年(1〜12月)ベースの新規導入量は800万kW程度確保できるだろう。

2016年はどうか。自由化のメリットが不明なこともあり、2年連続の減少になりそうだ。気になる買取価格については、日本のエネルギー政策における太陽光発電の重要性から考えて、あまり下げて欲しくない。多少の期待も込めて言えば、25円(2015年度から2円ダウン)〜27円(据え置き)になるのではないだろうか。2015年10月頃には、買取価格の入札方式が随分話題になった。価格は固定しないで、競争入札によって決めようというのだが、この方法は、手間と時間がかかり過ぎるので現実的と思えない。

投資家のニーズによっては、買取価格以上に重要なのが、優遇税制だ。グリーン税制による即時償却制度は2015年3月末で終わったが、4月以降はそれに代わって「生産性向上設備投資促進税制」による100%即時償却制度が活用されてきた。しかし、これも、2016年3月末で終了する(その後1年間は50%償却制度が残る)。100%償却が継続されれば、市場の縮小幅は抑えられる。

重要なのは長期的に投資を持続させることだ。私は、今後15年間にわたり、年間導入量500万kWを維持し、2030年までに累計導入量100GW(1億kW)を達成するべきと提言している。日本の電力需要の10%(1000億kWh)を賄う計算だ。この目標達成のためには、蓄電池も含めたトータルシステムのさらなるコスト削減努力が必要だ。