アドバンス通信 on WEB

ソーラーオーナーズ
インタビュー

村沢義久の
ソーラービジネス
最前線

開発現場から
とっておきの話

こだわりメンテナンス

小水力発電開発日記

村沢義久のソーラービジネス最前線 Vol.6 元東京大学特任教授 コンサルタントや、金融での経験を元に、化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱。電気自動車の普及と太陽光発電を中心とした低炭素社会の実現に注力。

太陽光発電のエキスパートとして、さまざまな事業者へのコンサルティングも手がける村沢氏による、"旬な話題"。今回は、「『2015年危機』を乗り切る鍵」について。

太陽光発電はこれからが本番

6月9日から12日まで、ドイツ、ミュンヘンで開かれたインターソーラー・ヨーロッパ2015を視察した。規模は最盛期の半分ということで、やや活気に欠ける感じではあったが、今後の太陽光発電の方向性を示すヒントがいくつか得られた。私が特に注目したのは、中国製パワコンとテスラの定置型蓄電池。

私は以前から太陽光発電の「2015年危機」について警告してきた。3月にはグリーン税制に基づく即時償却制度が終わり、6月には固定価格買取制度の「プレミア期間」も終わるからだ。

しかし、実際には、「危機」は来るとしても、1〜2年は延びそうで、うまく行けば、小さなもので済みそうだ。多くの業者が40円、36円、32円の案件を多数抱えていて、買取価格低下の影響がまだ表面化していないこと。さらに、グリーン税制に代わって、「生産性向上投資促進税制」の活用が始まったからだ。

原発も石炭も「NO」

私がミュンヘン郊外にある「太陽の村」レッテンバッハを訪問していた6月12日、日本では、山口県で計画されている大型石炭火力発電所について望月環境相が「NO」を突きつけた。石炭火力は温室効果ガスの排出量が特に多いからだ。背景には、G7サミット(ドイツ)で採択された、2050年までに2010年比でCO2を40〜70%削減するという合意があり、さらには、年末に予定されているCOP 21(パリ)対策がある。それは良いが、穿って見れば、原発再稼動促進狙いではないか、というところが気になる。しかし、原発再稼働に関しては、各種調査で、反対が賛成の2倍程度という結果が出ている。実際、原発には「核のゴミ」の最終処分場がないため、これ以上運転できない状況にある。

電力会社による準備も杜撰だ。「7月末」と言われていた鹿児島県の川内原発は、現在では「今夏には間に合わない」という状態となり、さらに遅れる可能性もある。動いても、13ヶ月後には定期点検でまた止る。

今年は生産性向上税制に活路

日本には、太陽光しかない、というのが私の考えだ。その中で、今、前述の「生産性向上設備投資促進税制」に基づく即時償却制度(2016年3月まで)が注目されている。
太陽光発電に関係する「B類」(※注)は、売電収入による年間利回りが15%以上(中小企業の場合には5%)確保できることが条件で、私の周囲でも申請する例が増えている。今、ヨーロッパでは買取価格が電力料金を下回るケースが増えている。日本を含む各国の買取価格は、当初は普及の勢いをつけるため、電気料金よりかなり高めに設定された。しかし、そこから次第に下げて行く。コストもそれに合わせて下げろ、ということだ。

テスラの蓄電池と中国製パワコンに注目!

日本では、産業用( 10kW以上)の分野では、初年度(2012年)の40円(税抜き)から36円、32円と下がり、今年は29円という移行期間を経て、7月からは27円になる。対照的に電気代は上がり続けている。買取価格40円のころは、家庭用電力料金は24円。18円の差があったが、今では、27円対31円と逆転している。今後、買取価格がさらに下がると、電力会社に売るより、自分たちで消費したほうが得、という状態になる。そこで、次のステップアップとして、定置型蓄電池の併用が重要になってくる。
インターソーラーでは、アメリカの電気自動車ベンチャー、テスラモーターズの蓄電池の前に大きな人垣ができた。すでに受注を開始している家庭用蓄電地「パワーウォール」は10kWhと7kWhの2機種があり、いずれも壁掛けタイプだ。
驚くのはその価格で、10モデルは3500ドル(約42万円)、7 kWhモデルが3000ドル(約36万円)と日本メーカーの4分の1程度である。ただし、テスラモデルはインバータ抜きの価格である点に要注意。私の試算では、インバータ込みの価格は国産の半額程度になりそうだ。もう一つ、私が注目するのが、パワコン。特に、日本製の半額程度の中国製品(サングロー等)は、品質向上が目覚しく、日本でも大いに普及することは間違いない。日本には太陽光発電しかない。その鍵を握るのが、パワコンと蓄電池だ。