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小水力発電開発日記

村沢義久のソーラービジネス最前線 Vol.5 元東京大学特任教授 コンサルタントや、金融での経験を元に、化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱。電気自動車の普及と太陽光発電を中心とした低炭素社会の実現に注力。

太陽光発電のエキスパートとして、さまざまな事業者へのコンサルティングも手がける村沢氏による、"旬な話題"。今回は、「電源のローカル化」について。

受入中断や認定取消は地域差を考慮すべき

電力の系統問題については、2つの問題があります。1つは、いわゆる九電ショックのような、電力会社レベルにおける一時的な受け入れの回答保留。九電における、累計申請容量1260万kWというのは、夏のピーク時の使用量1500万kWに対して80%にもなりますから、太陽光推進派の私でも一応理解できます。

2つめは経産省の対応です。再生可能エネルギーの固定価格買取制度を見直そうというのは良いのですが、今回は、電力会社の回答保留に過剰反応し、メガソーラーの認定を一時停止する検討を始めるという報道がなされました。経産省は、「誤報」と言っているようですが、そういう話があることは事実でしょう。

電力会社については、系統連系の余裕がないという地域があるわけですから、一定の理解ができますが、経産省の場合は全国的な影響が出るので、仮に認定の一時凍結をやるとしても、地域性を考慮して欲しいと思います。

この経産省の動きに対し、一番大きく反応したのが神奈川県でした。同県はまだ系統連系可能量に対する太陽光発電の認定割合は11%程度。屋根置き型に関しては全国でも最安値になるくらい力を入れていますが、メガソーラーでは非常に出遅れています。傾斜地など拾っていけば、まだ設置スペースはあるのです。さあこれからという時に、経産省に止められては困るというワケです。地域特性を考えて、系統の余裕の大きい所については止めてほしくないですね。

ちなみに、全国の太陽光発電の累計設備認定容量は7000万kWくらいありますが、ちょっと認定されすぎですね。2013年の年間導入量が約700万kWですから、すでに、10年分が認定されてしまったことになります。

これは、買取価格が高いうちに「とりあえず」認定を取得しておこう、という業者の思惑が原因です。今後は買取価格として、認定取得時のものではなく、最終設計時のものを適用するなどにより、駆け込み申請を抑えるための対策が必要でしょう。

国民負担が大きいのは電力会社が努力しないから

政府や電力関係の一部の人達は、原発再稼働の思惑もあり、いまだに「太陽光の発電コストは40円」などといっていますが、全くの間違いです。実際には既に20円を切る所まで下がって来ており、一方、家庭向けの電力料金は逆に30円ぐらいまで上がっています。

つまり、家庭用に関してはグリッドパリティを達成しているのです。従って、太陽光発電の電力を一般家庭に割り振れば、賦課金はゼロにできるはずです。また、発電ピーク時の余剰電力対策としては、揚水発電を昼間活用することにより対応が可能です。もちろん、長期的には太陽光発電のコストを更に下げていく事が必要です。

私は、原発については再稼働しないかも知れないと思っています。例えば、再稼働一番手と期待される川内原発(鹿児島県)は、本来は2013年秋に再稼働だと言っていましたが、すでに1年以上遅れており、この冬にも間に合わない可能性が大きくなってきました。

ところで、揚水発電は、本来は、原発による夜間の余剰電力を使って水を下池から上池に揚げておき、昼間に水を落として発電します。一方、太陽光の場合は昼間の余剰電力により水を揚げて、夜落として発電します。つまり、揚水発電に関する限り、原発と太陽光は対立する立場にあります。九州電力は、川内原発を動かしたいがために、太陽光の接続回答を保留している、という見方もあります。

また、このまま原発を再稼働しないと、国民の負担金が増える一方だとも言われていますが、それもあまり正しくはありません。確かに、火力発電の燃料代は電力消費者にとって大きな負担になっています。私の家の場合、再エネ賦課金250円に対して燃料調整費は800円で3.5倍もあります。しかし、それは、日本の電力会社がアメリカの何倍もの価格で海外から燃料を買っているからです。

そしてその背景には「総括原価方式」があり、いくらコストが高くても全ての負担を国民に押し付けられる仕組みになっているため、調達コストを下げようという努力をしないからです。きちんと民間の競争原理を取り入れ、コストダウンの努力をすべきでしょう。

小売全面自由化でローカルが中心に

太陽光発電推進における最大の課題は電力供給の安定化です。先に述べましたように、短期的には電力会社の持っている揚水発電を使って安定化を図ってもらいたい。しかし、長期的には、蓄電池、つまりバッテリーの導入が必須です。ところが、現状では、バッテリーは高すぎて、経済的に見合いません。私は新たに会社を作り、再エネ推進、電気自動車とバッテリーの開発をそれぞれのパートナーと手掛けています。

2016年から、これまで電力会社に限定されてきた家庭向け電気小売事業が全面自由化されます。そのため新電力(PPS)の参入が相次いでいます。バッテリーが実用化しさえすれば、東京都○○区限定のようなローカルな新電力が成立するのです。バッテリーコストをまずは半減、それから、5年後をメドに5分の1まで落とすことを目標としています。バッテリーの実用化によって、電力の地産地消を進め、2020年までには分散非接続型電源を実現したいですね。