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小水力発電開発日記

村沢義久のソーラービジネス最前線 Vol.3 元東京大学特任教授 コンサルタントや、金融での経験を元に、化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱。電気自動車の普及と太陽光発電を中心とした低炭素社会の実現に注力。

太陽光発電のエキスパートとして、さまざまな事業者へのコンサルタントも手がける村沢氏により、"旬な話題"。今回は、「グリーン投資減税」の制度延長などについて。

固定買取価格が32円に決定太陽光発電の危機とチャンス

2014年度の太陽光発電の買取価格が32円で決定しました。34円ぐらいとの当初予想から2円下がったことになります。その理由が、想定設備利用率が12%から13%に引き上げられたこと。発電設備が一定期間に100%の出力で発電し続けた場合の電力量に対する、実際に発電した電力量の比率を「設備利用率」といいます。

制度開始から2年連続で4円下がったので大きな落差と言えます。しかし市場には、40円案件、36円案件が多数残っていて、実際に32円案件が主流になるのは1、2年先です。昨年600万kWくらい建設され、これまでに600件ほど設備認定の取り消しがありましたが、まだ、1000万kW以上残っていることになります。したがって2014年度前半はまだまだ40円、36円案件中心で動いていくことになります。

難しいのはブローカー案件。元々転売目的で権利だけ取得した業者が多数いて、彼らから40円、36円案件が売りに出ています。しかし設計がめちゃくちゃで施工不能なものや、地主の承諾なしで認定だけ取得した案件などもありますから要注意です。

また、延長されていたグリーン税制の即時償却制度が2014年度に終わる点もマイナス材料です。ただ、今年に関しては、来年の3月末日までの売電開始を目指して、去年以上の駆け込み需要があると考えられます。明るい材料としては、茂木経済産業大臣がエネルギー基本計画の政府案に関するコメントの中で、「再生可能エネルギーについては積極的に推進する」と発言していることが挙げられます。グリーン投資減税と買取価格のプレミアム期間が終了する〝2015年問題〞もありますが、今後の買取価格の引き下げペースを緩やかにして、さらに何らかの優遇措置があれば大きな危機は来ないでしょう。しかし、太陽光発電を持続的に普及させて行くためには、優遇措置などいらないほど低コスト化するくらいにならないといけないですね。

さまざまな「危機」を乗り越え太陽光の次は、やっぱり太陽光

総合的に考えてみると、2014年は昨年以上の市場が期待できますが、2015年は少し減少する可能性があります。で、2016年以降はどうなるのかという話になります。太陽光の次は何が来るのか、という話です。

小水力を見てみると、FITでは1000kW以上3万kW未満(1MW以上30MW未満)が24円、200 kW以上1000kW(1MW)未満が29円、200 kW未満が34円。設置は比較的容易で採算性も良さそうです。設備利用率を65%として考えると年間発電量は同じ発電容量の太陽光の5倍にもなり、10kWの小水力が分譲ソーラーの主流である50kW設備に相当することにな水利権の規制緩和などがあれば有望でしょう。ただし、小水力で賄えるのは日本が必要とする総発電量の1〜2%にすぎません。

そう考えると、ダークホースは小型風力かも知れません。現在の買取価格は55円、しかも20kW以下なら環境アセスの対象にならない。問題は小さい分、効率は悪いということです。また普及を推進するために買取価格は55円に設定されていますが、普及すれば太陽光と同じように価格は下げられていくでしょう。

55円が30円まで下がっても設備コストを下げるなどで対応していけるかという点について不明瞭です。短期のニッチビジネスとしては注目ですが、長期的には不確定としか言いようがありません。

大型の風力はどうでしょう。コストには下がりやすいものとそうでないものがあって、ソフトは無限に安くなります。ハードでも半導体等のような微小化が可能なものは安くなります。一方、なかなか安くならないのはローテクのハード。単純なものほど安くならないワケです。風力発電のような大型機械も量産が難しいのでなかなか下がりません。

陸上風力の買取価格22円に対し、新しく設定された洋上風力は36円になりました。しかし、コストがかかるので、特に浮体式の場合は36円でも採算は取れないでしょう。陸上では風況や騒音、洋上では漁業権などの問題もあります。地熱発電については建設に10年かかりますから、私の言うスモールハンドレッド、すなわち数百社というベンチャー企業や中小企業には無理です。期待しないわけではないですが、私自身関与することはないでしょう。こう考えてくると「太陽光の次は、やはり太陽光しかない」というのが私の結論です。

「緑の贈与制度」に大きな期待設備の贈与が非課税に

グリーン税制がなくなるということで、節税という見地からの魅力は低下していきます。しかし、高齢者が抱えている余裕資産の活用という切り口が注目されています。その例として教育資金贈与を対象とする非課税制度があります。同様の制度を太陽光発電などにも適用しようという動きが出てきました。再エネ設備を子や孫に贈与した場合に贈与税を免除する非課税制度
「緑の贈与制度」です。これがスタートすれば、高齢者が子や孫の名義で設備やファンドを購入できることになります。最初は高齢者自身が売電収入を年金代わりに活用し、死亡後に子や孫に無税で相続させても良い。早期の制度化に期待しています。